北辰一刀流兵法は「総合武術」の流派として、江戸時代後期の1820年初め、剣聖千葉周作成政によって創始されました。その教えは、現在まで途切れることなく引き継がれており、現存する古流の中でも他流試合の伝統を守り続ける、数少ない流派の一つです。
創始以来、北辰一刀流では剣術のみならず、抜刀術、長刀術、撃剣に及ぶ総合的な兵法を教授しています。同時代の流派の多くは一つの術を軸にしていましたが、理論に基づく体系的な指導法こそ、実践における強さの秘密だったのです。実践第一の当流では、生死を分かつ状況や戦いの場における生き残り方を説いています。その教えは、戦い方を通して「生きるとは何か」の問いを導く哲学的要素を多分に含んでいます。